INTERVIEW 3

良い紙 ── 俺が思うのは、目が詰まった締まった紙かな。


持って透かした時にモワモワっとしたというか、そこまではいかないけど、チリがちょっちょって入ってるものもあるし。ちょっと太いのが入ってたり、なかなか大変なのよ。それが全く入ってないのがあるといいなって思うけど。だからそういうのって美濃和紙とかって本当に綺麗だなって思ったけどね 。思った通りにできればそれはそれで満足しちゃうけど。まず無理だなぁ。ああでもないこうでもないってやるのが楽しい。簡単にできたら面白くない。でも失敗してもそれも紙ですからね。

薄い紙を漉くときは、激しめに揺らす。
薄い紙を漉くときは、激しめに揺らす。

機械漉きや洋紙に負けている部分は多いけど。

機械漉きには負けてるかもしれないね、機能面でいうと。今は機械漉きも発達してきてさ。手漉きとわからないくらい綺麗な和紙を作りますからね。それに今の洋紙ってさ、機能性高いじゃないですか。火にも強かったり撥水とか、腐らない紙もあるし。強い紙もあるし、破れない紙もあるし。それと比べてしまうと和紙はそんなに(笑)。

機能性は高くないと思うけど、手触りとか風合いとかね。今は、灯とかにあちこち使われている。あとなんだろうね。長持ちするっていう、保存性が高いのは証明されてるからね。千年以上前のものが残っている。今の洋紙って千年耐えるかはわかってないじゃないですか。

 

和紙って、弱アルカリだし。呼吸ができるから。でも本音では、和紙のいいところって。自分ではわからないですよ。本当に。好きだから紙漉き和紙を作ってるだけで。

紅花の花びら入りの和紙。三浦さんは辺りの山で植物を使った紙も漉いている。
紅花の花びら入りの和紙。三浦さんは辺りの山で植物を使った紙も漉いている。

紙は素材、だから色んな使い方をしてもらえれば。

他の職人の方はわからないけど、使われ方へのこだわりっていうのは、俺はないんですよ。俺が作ってるのは素材だと思ってるので、使う人がいろんなものに、こんな風に使ってみたいと思って相談に来てもらえば、それはこういう紙なんだよって、あなたの使いたいようには難しいかもしれないけど、という相談には乗れる。いろんな人に使ってもらいたいんで、いろんな紙を作ってる。

紅花が入ったり。草木染めもするし、普通の染料で染めたものもあるし。山葡萄の皮を入れたりとか。紅花とか、藍染とか。

 

この辺だと、キハダっていう木の皮を使ったり。宗教で黄檗宗っていうのがあって、黄檗をキハダって読むんだよ、確か。食べると苦い。漢方薬にもなる。黄色というか、クリーム色。昔のお経の紙は、キハダ染めが多いんですよ。なぜかというと、苦いから虫がつかない。そういうものによく使われていた。山葡萄のつる細工やってるでしょ。あれで切れっ端がよく出るので、それを一緒に煮込んだり、すき込んだり。壁紙に使う人もいるし、タペストリーにする人もいるし。いろんなものに使ってもらえると。

取材   和氣明子  (Akiko Wake/FUTURE'S)

撮影   宿野辺隆之  (Takayuki Shukunobe)

INTERVIEW 1

山の水でつくられる月山和紙。

 

手漉き和紙において、一番大事なのは、水ですね。水にはいろんな条件があるんですよ。軟水じゃないとダメだとか...

INTERVIEW 2

月山和紙を受け継いだキッカケは、スカウト

 

この地に来てからは24年になります。もともとは埼玉県の小川町っていう和紙の産地があるんですけど...

INTERVIEW 3

機械漉きや洋紙に負けている部分は多いけど。

 

機械漉きには負けてるかもしれないね、機能面でいうと。今は機械漉きも発達してきてさ...

 

INTERVIEW 4

 自分にとって紙とは何か。そして今後の夢。

 

和紙がどういう存在かといえば、30歳頃に見つけた一生続けられる仕事。後悔はないし...

 


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